建設業経理士|土木の資格

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 建設業界で活躍するなら、現場の知識だけでなく「お金の管理」も重要です。特に工事ごとのコスト管理が求められる建設業では、経理の専門知識を持つ人材が重宝されます。そこで役立つのが「建設業経理士」という資格です。一般的な経理とは異なり、建設業独自の会計ルールに精通し、経営の根幹を支える役割を担います。本記事では、建設業経理士の概要や取得メリット、試験内容について詳しく解説します。


1.建設業経理士とは? 建設業に特化した経理のプロフェッショナル

 建設業経理士は、建設業における経理・会計の専門資格で、工事ごとの原価管理や決算業務に精通した経理のプロフェッショナルです。一般的な経理業務と異なり、建設業特有の「工事別の収支管理」や「長期にわたる工事の収益計算」などを理解し、適切に処理することが求められます。

 建設業では、多くの工事が長期間にわたり、複数のプロジェクトが同時進行するため、経理業務は非常に複雑です。そのため、適切な資金管理を行い、会社の財務状況を正しく把握することが重要になります。建設業経理士を取得すると、経理のスキルが証明されるだけでなく、経営事項審査(経審)での加点対象となり、企業の評価向上にもつながります。

 資格は1級から4級まであり、1級は決算書の作成や財務分析など、より高度な知識が必要です。特に1級を取得すると、建設業の財務戦略や経営に深く関与でき、キャリアアップにも有利になります。

 建設業界で経理のスキルを活かしたい方や、会社の財務を支えたい方にとって、建設業経理士は非常に価値のある資格といえるでしょう。


建設業経理士検定試験は、建設業における経理・会計の専門知識を評価する資格試験で、1級から4級までの等級があります。試験は年2回、上期(9月)と下期(3月)に実施されます。


試験日程と申込期間

上期試験(令和6年度):

  • 試験日: 令和6年9月8日(日)
  • 申込受付期間: 令和6年5月14日(火)~6月13日(木)


下期試験(令和6年度):

  • 試験日: 令和7年3月9日(日)
  • 申込受付期間: 令和6年11月12日(火)~12月12日(木)


試験科目と時間割:

試験科目と時間割:1級: 3科目(財務諸表、財務分析、原価計算)

  • 財務諸表: 9:30~11:00
  • 財務分析: 12:00~13:30
  • 原価計算: 14:30~16:00

2級: 建設業簿記、原価計算、会社会計

  • 試験時間: 12:00~14:00
  • 3級: 建設業簿記、原価計算
  • 試験時間: 120分


受験料:

1級:

  • 1科目受験:8,120円
  • 2科目同時受験:11,420円
  • 3科目同時受験:14,720円
  • 2級: 7,120円
  • 3級: 5,820円


受験申込方法:

インターネット申込: 各申込期間内に公式サイトから手続き可能

書面申込: 申込書を入手し、必要書類を同封して郵送


合格発表:

  • 上期試験: 11月中旬
  • 下期試験: 5月中旬


詳細な情報や最新のスケジュールについては、建設業振興基金の公式サイトをご確認ください。   建設業振興基金https://keiri-kentei.jp/


2. なぜ建設業経理士が必要? 資格を取得するメリットとは

建設業経理士は、建設業界での経理・会計業務に特化した資格です。この資格を取得することで、企業の財務管理能力を高め、経営の健全化に貢献できます。建設業は長期間にわたる工事や複雑な資金管理が必要なため、一般的な経理とは異なる専門知識が求められます。

資 格を取得する最大のメリットは、経営事項審査(経審)での加点 です。経審は公共工事の入札に関わる企業の評価制度で、建設業経理士の資格保持者が多い企業は評価が上がり、受注のチャンスが広がります。また、企業内でのキャリアアップにもつながり、資格手当や昇給の対象になることが多いです。

さらに、建設業経理士を取得することで、財務諸表の作成や経営分析ができるようになり、会社の経営判断にも関与しやすくなります。特に1級を取得すると、財務管理のスペシャリストとして重宝され、経営層からの信頼も厚くなるでしょう。

建設業界での安定したキャリアを築きたい方や、経理スキルを活かして企業の成長に貢献したい方にとって、建設業経理士は大きな武器となる資格です。


3. 試験の難易度は? 建設業経理士の等級と合格率を解説

建設業経理士の資格は、1級から4級までの等級に分かれており、級が上がるほど試験の難易度が高くなります。特に1級は「財務諸表」「財務分析」「原価計算」の3科目に分かれ、各科目ごとに合格する必要があります。

合格率を見ると、3級と2級は比較的取りやすい資格ですが、1級は難易度が高めです。2023年度の合格率は以下の通りです。

  • 1級(3科目平均) … 約30%
  • 2級 … 約50%
  • 3級 … 約70%

3級は建設業の基礎的な簿記知識を問われる内容で、簿記初心者でも比較的合格しやすいです。一方、2級では「会社会計」や「原価計算」の理解が求められ、建設業に特化した会計知識が必要になります。


1級は、企業の財務戦略や経営判断に関わる高度な内容が含まれ、合格には十分な勉強時間が必要です。特に「財務諸表」は、一般的な簿記試験と違い、建設業特有の項目が多いため、専門的な学習が求められます。


このように、建設業経理士の試験は段階的にレベルが上がるため、自分のスキルや経験に応じて挑戦すると良いでしょう。


4. 勉強方法と対策! 建設業経理士の試験に合格するコツ

建設業経理士の試験に合格するためには、効率的な勉強方法を実践することが重要です。ここでは、級ごとに適した学習方法を紹介します。


  • 3級・2級対策:基礎固めが重要

3級や2級では、建設業簿記の基本を理解することがポイントです。まずは市販のテキストを使って、仕訳や勘定科目の意味をしっかり押さえましょう。また、過去問を繰り返し解くことで、試験の傾向をつかむことができます。


  • 1級対策:応用力を鍛える

1級は「財務諸表」「財務分析」「原価計算」の3科目があり、合格には深い理解が求められます。

  財務諸表 … 建設業独特の会計処理をマスターする

  財務分析 … 過去問を解きながら、計算スピードを上げる

  原価計算 … 計算問題が多いため、演習量を増やす

 過去問を10年分ほど解き、出題傾向を把握すると効率的に学習できます。また、専門学校の講座を活用するのもおすすめです。

 試験直前には模擬試験を実施し、本番を想定した時間配分で解く練習をしておきましょう。これにより、本番でも焦らずに解答できるようになります。


5. 資格取得後のキャリアは? 建設業経理士が活躍できる仕事と年収

建設業経理士を取得すると、建設業界でのキャリアの幅が広がります。特に、企業の経理部門や財務担当としての活躍が期待されます。

主な就職・転職先

  • 建設会社の経理・財務部門
  • 建設コンサルタント会社
  • 会計事務所・税理士事務所
  • 公共工事を受注する企業の管理部門

建設業経理士は、経営事項審査(経審)の加点対象となるため、企業側としても有資格者を採用したいと考えています。そのため、資格を持っているだけで転職市場での価値が高まります。


年収の目安

  • 3級・2級取得者(経理スタッフレベル) … 年収300万~450万円
  • 1級取得者(管理職・経営層) … 年収500万~800万円

 1級を取得すると、財務部門の管理職や経営企画にも関わることができ、給与アップにつながります。また、税理士や公認会計士と協力しながら、企業の財務戦略を立てる役割を担うこともあります。

 このように、建設業経理士は単なる資格ではなく、キャリアアップや年収向上につながる重要なスキルとなります。建設業界で長く活躍したい方には、非常に価値のある資格といえるでしょう。


6.簿記の経験ゼロから半年で建設業経理士2級に合格! その学習法と1級を諦めた理由

 私は簿記の知識が全くない状態から、約半年間の勉強で建設業経理士2級に合格しました。しかし、1級の教科書を見た瞬間に「これは無理だ」と諦めてしまいました。この記事では、2級合格までの勉強法と、1級を断念した理由について正直にお伝えします。


未経験からの挑戦! 2級合格までの勉強法

簿記の知識ゼロからのスタートだったため、まずは基礎を固めることを重視しました。私が実践した勉強法は以下の通りです。

市販のテキストを1冊決めて何度も繰り返す

初めのうちは専門用語ばかりで意味が分からず苦労しましたが、同じテキストを繰り返し読むことで少しずつ理解が深まりました。

仕訳を完璧にする

建設業特有の会計処理があるため、仕訳のパターンを覚えることに注力しました。問題集を繰り返し解き、何も見ずに仕訳ができるようにしました。

過去問を徹底的に解く

試験の出題傾向をつかむため、過去問を5年分ほど解きました。同じような問題が何度も出題されるため、効率よく対策ができました。

計算スピードを上げる

本番では時間が足りなくなることが多いため、電卓を使いながら素早く正確に計算する練習をしました。

この方法で半年間勉強した結果、なんとか2級に合格することができました。


1級の教科書を開いた瞬間に諦めた理由

2級に合格した勢いで1級に挑戦しようと思い、教科書を購入しました。しかし、ページを開いた瞬間、「これは無理だ…」と感じてしまいました。


内容が一気に専門的になる

2級までは実務で役立つ範囲が多かったのに対し、1級では財務諸表の詳細な分析や高度な原価計算が求められます。理解するのに時間がかかりそうでした。

3科目合格が必要

1級は「財務諸表」「財務分析」「原価計算」の3科目があり、それぞれ独立して合格しなければならず、長期間の学習が必要です。

試験範囲が膨大

2級の学習範囲はある程度限られていましたが、1級は試験範囲が広く、知識の定着に時間がかかると感じました。

このような理由から、「今の自分には無理だ」と判断し、1級挑戦は見送ることにしました。

まとめ:2級合格は十分可能! 1級は覚悟が必要

 簿記未経験でも、半年間しっかり勉強すれば建設業経理士2級には合格できると実感しました。ポイントは、基礎をしっかり固め、過去問を繰り返し解くことです。

 一方で、1級は難易度が跳ね上がり、相当の努力が必要になります。仕事やプライベートの状況を考慮し、「本当に1級を目指すべきか?」を慎重に判断することが大切です。

 もし「2級までは取ったけど、1級はどうしよう…」と悩んでいる方がいれば、自分の経験を参考にしてみてください。資格はゴールではなく、仕事でどう活かすかが重要です。無理に1級を目指すのではなく、2級の知識を活かして実務経験を積むのも一つの選択肢だと思います。

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