「ロックボルト工」は「鉄筋挿入工」や「地山補強土工」、「切土補強土工」などとも呼ばれ、法面に鋼棒を挿入して斜面を安定化させる工法で、鉱山の安定対策から始まりました。トンネルのNATM工法で急激に普及し、昨今では法面の安定対策として吹付けコンクリートや吹付枠工と併用した施工事例が増大しています。以前はグラウンドアンカー工で対応するような擁壁や張コンクリートでの施工例も増えてきています。前述のグラウンドアンカー工によく似ていますが、最大の相違点は緊張力付与が有るか無いかです。アンカーは挿入した鋼材に大きな緊張力をかけて地山に圧縮力を作用させますが、ロックボルトは基本的に緊張力は掛けません。そのため、アンカーは緊張力を長期にわたって維持させるために高規格の材料や高い防食性と緊張力の定着性能と高い品質を維持するための施工方法が必要となり施工費も高額になります。それに対してロックボルトは鋼材を打設してナットを軽く固定する程度で完成です。しかし、前述したように近年では高額な施工費が必要なアンカーの対策効果をそのままロックボルトに求める傾向が増えてきました。
建設業に係わらない方に簡単に説明しますと、崖のような斜面に機械で10㎝程度の穴を数メートル掘って、鉄筋棒を差して隙間をモルタルで埋める。鉄筋の引張力やせん断力によって斜面を崩れないように安定させる工法です。アンカー工はその親分の様なものと思ってください。わかりやすい実験動画がありましたので参考にしてください。実際に削孔している動画も載せておきます。
削孔している状況の動画
ロックボルトを模型での実験動画
では施工手順を説明していきます。削孔方法には大きく分けて単管堀と二重管堀があります。土質が安定していて掘った穴が自立できる様であれば単管、地盤が脆弱で穴が崩れてしまうときには二重管となります。単管掘りが字のごとく一本のロッドで掘り進めていくのに対して、二重管はロッドの外側の管で地盤が崩れないように保護しながら堀りすすめていきます。また、削孔機も足場の上で施工するスキッドタイプの機械やレッカーで吊りながら無足場で施工するスカイドリルタイプがあります。
足場の上で作業するスキッドタイプの削孔機
レッカーで吊り下げながら作業するスカイドリルタイプの削孔機
削孔角度や削孔長を管理しながら所定の深度まで掘り進めます。ロッドは1mの長さなのでつぎ足しながら掘っていきます。所定の深さまで掘り進めたら、ボルトを挿入します。
設計の削孔角度になるように管理します。
設計の深さに余掘り長をプラスします。
ロッドを引き抜いた後、ケーシングを残してボルトを挿入
ボルトを挿入後セメントミルクをボルトと穴の空隙に充填します。セメントミルクの品質が確保されているかテストピースを採取して硬化後に強度の試験を実施、セメントの種類によって違いますが早強セメントで3日と7日の強度を測定します。
セメントミルクの注入はパイプを使って穴の底から流し込みます
テストピースは3日用3本、7日用3本作製します
生コン屋さんで圧縮強度試験を行います
ミルクが固まって強度が確保されたら、受圧板とナットを取り付けて、所定のトルクでナットを締め付けます。そして、ボルトの品質試験を行って完成です。
ジャッキで設計荷重で引っ張ってボルトの伸びが規定値以内であればOK
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