モルタル吹付工|法面工事の紹介

 建設業に携わっている方は良くご存じとは思いますが、一般の方があまり目にすることのない「モルタル吹付工」について簡単に紹介していきたいと思います。

 「モルタル吹付工」は法面保護工の一種で、風化・浸食されやすい自然斜面(崖)や法面にモルタルを吹付ける工法で、斜面を風化・浸食から守り、小崩壊や落石を防止するために施工する。モルタルを崖や法面に吹き付ける工法であり一般的には抑止力はなく、あくまで斜面が自立安定していることが前提である。モルタルでなくてコンクリートを吹付ければコンクリート吹付工になる。吹付ける厚さには明確な使い分けはなく、法面の状況や気象条件によって決められる。標準的にモルタルの場合は8~10cm、コンクリートでは10~20cmである。一般的に寒冷地では凍結防止のため10cm以上と厚くする傾向がある。

 施工方法は最初にのり面の伐採を行い、草木や浮石、ゴミ等をクワやエアー等で除去してモルタルの付着をよくします。

一般的には写真のラス網と呼ばれる金網を張りアンカーピンで地山に固定します。仮設の場合は金網を張らずに直接吹き付ける場合もあります。また、金網の代わりに特殊な繊維を混合して吹付けるような特殊な工法もあります。

「ノズルマン」と呼ばれる法面工が親綱にぶら下がってモルタルを吹付けていきます。一日中ぶら下がって吐出力の強いノズルを持っていますので体力が必要ですが、若い方は数日で慣れてしまいます。また、均一円滑に吹き付けるには個人のセンスと経験が必要です。吹付面には地山からの湧水を排出するように水抜きパイプを一定の割合で設置します。一般的には10㎡あたり5個~3個程度の割合で取り付けます。また、湧水の多い個所には割り増して設置したり透水マット等を設置する場合もあります。

この写真は法枠の中をモルタルで吹付けています。

この動画は以前、林道の工事で撮影したものです。吐出力の強さがよくわかると思います。

「ガン」と呼ばれる吹付機に投入したモルタルをコンプレッサーの圧縮空気で吹付けます。ガンの操作は材料の撹拌時間や水量調整、空気圧、吐出等の調整が必要で熟練した技術が必要で一人前の「ガンマン」になるにはかなりの年数を要します。最近は自動化の試行等をしているようですが現場毎、時間ごとに気温や砂の性質、搬送距離などの各種条件が違うのでなかなか実用化まではほど遠いようです。今後、AIなどを駆使して無人化も実現するかもしれませんね。

ベルトコンベアの上に生コン工場から持ってきたモルタルを流して「ガン」の中に投入していきます。生コン工場から遠方の現場などは生コン車からではなく砂とセメントを投入して現場でモルタルを作成する場合もあります。また、最近はコロナや戦争、円安での物価高騰の影響で生コン工場から購入すると採算割れするので現場練で行うケースも増えているそうです。この写真は以前JR飯田線の素掘りトンネルの中を吹付けするために工事用鉄道車両の上に吹付機を設置し人力で砂とセメントを吹付機に投入して施工したケースです。

吹付けしたモルタルが既定の強度を有するかテストピースを採取して試験します。一般的には15N/mm2~20N/mm2程度の強度が要求されます。このほかに使用するモルタルの塩化物含有量や空気量、また現場で練る場合は砂の表面水率を測定した配合試験などの品質管理をもとめられます。





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