第一章:仮免への道のり編
プロローグ:まさかの指令
3月18日(火)
本日は、自動車学校の入校式。そう、実に30数年ぶりの「教習所の門」をくぐる日である。
きっかけは、社長の何気ないひと言だった。
「早く大型免許、取ってこい!」
えっ……まさかのご指名!?一瞬、「ドッキリか?」と周囲を見渡したが、現実だった。社内で大型トラックを運転できる人材は少数派。年齢もベテランの域に達している私が選ばれたのは、ある意味で“信頼の証”……かもしれない。
家族に報告すると、妻は「えっ、本当にやるの?」と若干引き気味。子どもたちは「すごーい!パパ、トラックの運転手になるの!?」と目をキラキラ。……が、内心では「おじさん、ホントに大丈夫か?」と不安が募る。
いやいや、やると決めたらやるのがミツヨシ魂!こうして自動車学校での新たな挑戦が始まった。
第一段階の戦い
4月1日(火)
いよいよ教習初日。入校時には混雑しているので予約が取りにくいとのことだったが、1週間みっちり予約を入れていただき、順調に進めば今週には第一段階が終わる予定、この日から連日2時限づつのの詰め込みスケジュール。
なんと、「路肩への駐停車」「S字カーブ」「坂道発進」「バック走行」など、初めての項目がてんこ盛りだ。これはもう、プチ地獄。
まずは路肩への駐停車から。
教官:「はい、じゃあ車体を50cm以内に寄せて止めてみましょう〜」
いやいや、そんな簡単に言うけどね!?こちとらまだ車幅感覚すら掴めてないんですが!ミラーを頼りにソロリソロリ……気づけば1メートル以上離れてた。
続いてS字カーブ。
教官:「大型は後輪を意識して、タイミング早めに切るのがコツですよ〜」
わかっちゃいるけど、前も長い、後ろも長い、感覚が全然わからん!何とか通過するも、ポールにミラーがゴチン。「まあ、初回にしては上出来ですよ」と言ってくれた教官、ありがとうございます。
そして問題の坂道発進。
クラッチを繋ごうとしてエンスト、サイドブレーキを戻したらズルズル後退、焦ってもう一度クラッチを繋ごうとして再エンスト……。
教官:「落ち着いて〜!今の3連コンボ、珍しいですよ〜!」
笑ってるけど、こっちは脂汗ダラダラ。まさに“地獄の坂道”、軽いトラウマが刻まれた瞬間だった。
バック走行も一筋縄ではいかず。「バックは自信ありますよ」なんて調子に乗ったら、見事に逆方向へ曲がってストップがかかる。ミラーだけで方向感覚を保つのは、やはり熟練が要る。
この日だけで、まるで1週間分の精神力を使った気がした。
4月2日(水)
この日も連続2時限教習。
まずは車両点検の再確認からスタート。車体周りのチェック、エンジンルームの確認手順など、教習生同士で声をかけ合いながら実施。
そして再び因縁の坂道発進。昨日の悪夢を払拭すべく挑むが……やはりエンスト祭り。クラッチミートの感覚がどうしてもつかめず、何度もサイドブレーキを引いたり戻したり、まるで“坂道で筋トレ”状態。
教官:「クラッチの鳴き声を聞くんですよ〜。今、ミャッって言いましたね」
何その擬音!?と突っ込みつつも、なんとなくコツが見えてきた。
午後はS字カーブとクランクの連続練習。特にクランクは切り返し回数を減らすのが課題で、「内輪差との戦い」に挑む。
何度もポールとミラーがニアミス、まるで「寸止め芸」のような展開に。でも教官の「そのヒヤヒヤ感、大事ですよ」の言葉に救われる。
最後は後退の反復練習。ミラーと感覚でまっすぐ下がる技術が少しずつ身についてきた。
4月3日(木)
朝からあいにくの雨模様。
雨の中での教習は視界も悪く、滑りやすさも加わって緊張感倍増。
後退と方向変換に集中。特に方向変換では、「一度で決める」プレッシャーがあり、慎重すぎて切り返しが多くなってしまう場面も。
教官からは「ハンドルの戻しが遅れる傾向があるね」と指摘され、そこを意識して再チャレンジ。
踏切と見通しの悪い交差点の通過練習。
踏切では、窓を開けての音確認、車体全体が踏切を越えるまで停止しないなど、手順が細かく、注意点も多い。
見通しの悪い交差点では、首振り確認と徐行のタイミングに重点。いつも以上に慎重に操作する必要があった。
「雨の日に練習できてよかった」と後から思える内容だった。
4月4日(金)
少しずつ教習所の雰囲気にも慣れてきた今日。
クランクとS字の連続走行練習。組み合わせたコース設定により、判断力と車両感覚を総合的に試される。
特に曲がり角からの連続操作で「あっ、次どっちだったっけ?」と混乱しがち。頭の中で何度もシミュレーション。
坂道発進→踏切→交差点と、これまでの教習内容をすべて盛り込んだ“検定風コース”に挑戦。
ミスが許されない緊張感の中、教官の「よし、その調子!」という声に励まされながら走り切る。
最後は今日のまとめとして、苦手ポイントを1つずつ振り返る時間も設けられ、頭の中が少し整理された。
いよいよ第一段階の総仕上げ。第一段階の見極め、これまで習ったことを総合的にチェックされる。
今日の教官:「じゃあ、一通りやってみましょう!」
スタートから緊張しっぱなし。でも、今までの経験を思い出しながら慎重に運転。
・発進→OK!
・坂道発進→少しもたついたがOK!
・カーブ→やや膨らみ気味だったが、問題なし!
・バック→修正しながらも無事駐車!
結果は…… 無事合格!
教官:「よく頑張りましたね!次はいよいよ仮免検定ですね!」
やった~!第一段階クリア!まだまだ先は長いけど、ここまで来れたことが嬉しい。次はいよいよ仮免検定だ! 来週の月曜日に申し込み完了!
そして、運命の日
4月7日(月)仮免検定
ついにやってきた、第一の大舞台「仮免検定」!
この日は普通車の検定者も含めて10名ほど。大型免許組は私を含めて3人。年代は同世代が2人と、20代後半の若者が1人。
もうね、朝から手汗が止まらない。
順番が近づくと、心臓バクバク。まるで初めての告白のような緊張感(いや、それ以上かもしれない)。
検定内容は、これまで学んだ全ての技術の総決算。坂道発進、S字、クランク、バック、踏切通過……どれもミスが許されない。ミスしたら即アウト!まさに「一発勝負」。
結果は……合格!
しかも全員「注意点はあるが合格」という、“おじさん大健闘”の結果に!
教官:「次はいよいよ第2段階ですね。路上ですよ!」
おぉ〜、ついに路上か!公道に出るなんて想像しただけで背筋が伸びるが、やっとここまで来れたという達成感はひとしお。
おわりに:まだまだ道半ば
第一段階を終えてみて思うのは、「大型車の運転は、人生の縮図だ」ということ。
慌てれば失敗するし、慎重すぎても進めない。状況を見て、判断して、そして行動する。まさに“職人の仕事”だ。
「おじさんでもやれるのか?」という不安から始まったこの挑戦。今は「おじさんだからこそ、慎重にできるのかも」とすら思えてきた。
次回からは、いよいよ第2段階・路上教習編へ突入。未知の世界に飛び出すが、ここまで来たら最後までやるしかない!
次回、「公道デビュー!交差点の恐怖とおじさんの勇気」編、お楽しみに!
※奮闘記の内容は実際の出来事に基づいていますが、多少のアレンジを加えてフィクション要素が含まれています。次回は路上講習の後半 引き続き奮闘記を楽しみにしてください!
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